内視鏡検査治療例

ダックスフンドの炎症性ポリープ
症例: 11歳   ミニチュア・ダックスフンド  7.6kg

原因: 大腸炎治療への反応の悪い慢性的粘血便

処置法:全身麻酔下での内視鏡検査

病理組織検査結果:炎症性結直腸ポリープ

Evernote Camera Roll 20160224 174447 Evernote Camera Roll 20160224 174446

治療:シクロスポリン、プレドニゾロン、抗生剤併用の治療を開始

Evernote Camera Roll 20160224 135030 Evernote Camera Roll 20160224 174409


コメント:

①炎症性ポリープの原因はハッキリと解明されていないが、免疫疾患の発生が多いミニチュア・ダックスフンドに好発することから、免疫の異常が関連していると示唆されている。中高齢のミニチュア・ダックスフンドに多い。

②診断には病理組織検査が必要であり、非腫瘍性ポリープで病変は結直腸の粘膜に限局する。多発性であることが多いが、中には単一の大きなポリープを形成することもある。稀に炎症巣の一部が癌化している事があるので多発性の病変では複数箇所の病理組織検査が必要である。

③免疫抑制療法によりポリープの縮小や臨床症状の改善が期待できるが、免疫抑制療法を短期間で中止すると多くの場合再発することから、通常は数ヶ月以上の投薬が必要となる。補助的に抗菌剤、整腸剤、食事療法を併用する場合がある。

ある研究では内科的免疫抑制療法への反応率は80%であり、そのうち40%は肉眼的なポリープの消失と臨床症状の改善が見られたとある。シクロスポリンとプレドニゾロンに抵抗性を示す例では、レフルノミドの治療が有効であったとの報告がある。

内科治療への反応が認められないか、あるいは不十分な場合は外科的摘出術が推奨される。

→パル日記[続く血便の原因]でも紹介しています。


食物アレルギー性慢性下痢

症例:シベリアンハスキー 3才 メス
症状:1ヶ月以上継続する慢性下痢
経過:糞便の顕微鏡検査では異常なく、一般的な下痢治療(駆虫剤、抗生剤、整腸剤、消炎剤、消化酵素剤などに反応なし。
治療:検査結果に基づく食事療法(薬なし)
経過良好


コメント:一般的には2週間以上継続する下痢、または再発を繰り返す下痢は慢性下痢と呼ばれます。下痢をすると栄養吸収が阻害され、体重の減少や血中タンパク質の低下、それに伴う腹水の貯留、重症化すれば脳浮腫を起こし得えます。単発的かつ短期的であれば軽症ですが、慢性となると命に関わる可能性も出てきます。下痢に対しては初期は非侵襲的な検査から開始され、除外診断を行なっていき診断を導いていきます。
症例は、避妊手術時に内視鏡検査、生検を行いました。病理検査より細胞形態や組織構造から腫瘍性疾患、IBD、リンパ管拡張症などが否定されました。また、血液によるアレルギー検査も実施。アレルギー検査についてはI型アレルギー反応であるIgE抗体の検査と、Ⅳ型アレルギー反応であるリンパ球反応検査を主要食物、除去食について行いました。これによる陽性反応の食物を避けた食事に変更。その後、下痢は改善し治療薬も必要なく、体重維持、順調な発育が認められ数年が経過しています。
以下は病理検査の結果とアレルギー検査結果です。
アレルギー結果 病理結果