整形外科治療例

橈尺骨骨折 とうしゃっこつこっせつ(遠位1/5横骨折)

症例:チワワ 1歳 1.9kg  (No.6966)
原因:落下
術式:ダブルプレート
術後フォロー:リハビリテーション(PROM)
予後:1.5ヶ月後に完全機能回復


コメント:
2kg以下の超小型犬の橈尺骨骨折は、特に注意が必要です。もともと、解剖学的に血管に乏しい部位なため、骨再生治癒の過程が遅れたり、癒合不全が発生しやすいのです。
また、骨癒合の経過を見ながら、術後1ヶ月程度でメインプレートの抜釘を行います。これを行うことにより、以後の骨癒合が良好に促進されます。
しかし、同時にスクリューホールの部位で再骨折を起こす危険性が非常に高くなります。
本症例のようにダブルプレートを適用しサブプレートを残したままにすることにより、再骨折の危険性が殆どなくなります。
非常に細かな手技のため、若干のテクニックが必要となります。


よくある質問:
Q:ギブスで治りませんか?
A:本症例のように、骨が真横に折れて、変位している場合や橈骨、尺骨の両方が折れている場合はギブス固定では対処できません。


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橈尺骨骨折 幼齢犬(遠位1/5若木骨折)

症例:ポメラニアン 3ヶ月齢 1.6kg (No.5039)
原因:扉に挟まれた
術式:キャスティングギブスによる外固定
術後フォロー:1週間目より段階的にギブス先端のカット
予後:1ヶ月後に完全機能回復


コメント:小型犬、3ヶ月の若齢、若木骨折という点から、外科的整復を用いず、外固定(俗にいうギブス固定)を選択しました。
予想通り1ヶ月で完全な解剖学的治癒と完全機能回復が得られました。段階的にギブス先端をカット
することにより、負重付加が徐々に加わり、骨癒合が促進されます。


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膝蓋骨内方脱臼 しつがいこつないほうだっきゅう(グレード3)

症例:ヨークシャーテリア 1歳 2.1kg
原因:先天性、後肢O脚内股姿勢、疼痛・跛行なし
術式:滑車溝造溝・関節包及び外側肢帯の縫縮・滑膜糜爛部の焼烙・前部縫工筋の転移・内側広筋の解離・脛骨粗面移動
術後フォロー:リハビリテーション(PROM、UWTM)
予後:1ヶ月後に完全機能回復、再発なし


コメント:
グレード3は外科治療適応です。
グレード3症例の多くは、膝蓋骨が常時脱臼しているので、疼痛や跛行といった症状を伴っていないことが多く、
飼い主様が気付いていないことが殆どです。健診などで獣医師による注意深い触診により発見されます。
この状況が長期(6ヶ月〜数年)続くと、やがて膝蓋骨の腹側面が軟骨のない骨とこすれ合い、軟骨が欠損し始めると疼痛が惹起されてきます。また膝関節関節炎と移行していきます。
膝関節の不安定性が続くと、前十字靭帯および内側半月板の損傷が併発する場合も少なくありません。
痛みなどの症状がなくても、早いうちに正常な膝関節に修復してあげることが重要です。


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関節包切開・軟骨の欠損→                   滑車溝切開→


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ブロックリセッション1→                     ブロックリセッション2→


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滑車溝の掘削→                         造溝完成→


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脛骨粗面の切り込み→                     k-wireによる粗面移動→


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関節内にヒアルロン酸注入→                 関節包の縫縮→


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外側支帯の縫縮→                       皮内縫合終了→


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膝蓋骨内方脱臼 (グレード4)

症例:プードル 2歳 3.2kg
原因:先天性、右後肢着地不能(挙上したまま) 左股関節脱臼
術式:大腿骨骨きり短縮・滑車溝造溝・脛骨粗面移動・大腿骨スクリュー・脛骨大腿骨テンションスーチャー・内側関節包開放・大腿四頭筋の解離及び再配置
術後フォロー:リハビリテーション(PROM、UWTM)
予後:2ヶ月後には右後肢での負重が可能となる。日常の生活では4足で過ごせる。速歩では、右後肢を挙上する。


コメント:先天性の膝蓋骨内方脱臼の最上級グレードです。生後1ヶ月から後肢に異常が見られ、3ヶ月齢にはすでに大腿骨の湾曲が認められる例もあります。
グレード4では、もはや患後肢は伸展することができず、常に屈曲したまま挙上しており、3本足で生活しています。両後肢が罹患した場合、逆立ち状態で生活をするかわいそうなプードルに遭遇したこともあります。
生後間もなくから、加速的にグレードがアップしますので、一刻も早い処置が必要とされます。
異常発見の時期が遅れるほど、大変負担のかかる術式が必要となりますし、満足な結果が得られない場合も少なくありません。
特に子犬を飼いだしたら、かかりつけの獣医師にチェックをしてもらうようにしてください。


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膝蓋骨内方脱臼 (グレード2:ダイナミックタイプ)

症例:ヨークシャーテリア 1歳 2.1kg
原因:先天性、間欠的な痛みを伴う跛行
術式:滑車溝造溝・関節包及び外側肢帯の縫縮・前部縫工筋の転移・滑膜糜爛部の焼烙
術後フォロー:リハビリテーション、
予後:1ヶ月後に完全機能回復、再発なし


コメント:
通常、グレード2は外科治療適応外であるが、常時ダイナミックに脱臼する例では膝蓋骨の腹側面と滑車溝に軟骨の欠損部が認められ、痛みの原因となります。
この状況が長期(6ヶ月〜数年)続くと、やがて膝関節関節炎と移行していきます。
膝関節の不安定性が続くと、前十字靭帯および内側半月板の損傷が併発する場合があります。


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