CT検査治療例

総胆管内胆石摘出、胆嚢摘出

症例:チワワ、12歳、避妊♀
主訴:嘔吐、虚脱、食欲廃絶
診断名:胆石による総胆管閉塞
治療:外科的胆石摘出、胆嚢摘出

コメント:従来までは胆泥症、胆嚢粘液嚢腫、胆石症による総胆管の閉塞、拡張はエコー検査(超音波検査)にて検出されていましたが、超音波ではどの部位にどれくらいの大きさのどういう固さのものが閉塞しているのか確定できませんでした。ですので、開腹した時に確認するしかありませんでしたが、現在では、開腹前に下の画像のようにどの部位にどのくらいの大きさのものが閉塞しているか、CT検査にて確認し、明確な術前計画を練ることができます。

下の症例の子では大きさ約4mmの胆石と思われる物質が閉塞していることが開腹する前のCT検査にて確認できていたため、手術にて石を取り除き、術者も安心して手術を終えることができました。CTを利用することにより、手術支援画像を作成し、手術に臨むことで、手術の成功率を上げることが出来る一つの例です。

CT画像による手術支援(総胆管、胆石の位置と胆石が総胆管内に閉塞している3D画像)
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総胆管の拡張(6mm)と胆石の局在
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胸腺鰓溝性嚢胞(疑い)

症例:12歳、去勢オス、雑種猫

症状、検査所見:健康診断にて、胸部レントゲンで前胸部に腫瘤性病変を認める。症状なし。

CT検査所見:前縦隔洞内に造影剤の増強効果が認められないシスト様の構造(10.9×17.3mm)を認める。
コメント:胸腺の腫瘤の多くは胸腺腫であり、CT検査では造影剤の増強効果が認められます。今回の症例はその造影剤の増強効果が全く認められず、シストを形成していることがわかりました。胸腺鰓溝性嚢胞の治療法は外科切除ですが、臨床症状もなく高齢でもあるので経過観察を行っています。現在半年が経過していますが、増大傾向は見られないので様子を見ている状況です。

池田アッシュ CT

肺転移(乳がん)

症例:11歳、避妊メス、雑種猫

症状:乳腺の腫瘤

CT検査所見:乳がんの手術(両側乳腺全摘出)後のケアとして抗がん剤を投与。8ヶ月経過し、CT検査を行う。両側の肺葉にmm大の結節を認める。
コメント:手術後の病理検査にて、悪性度が高くリンパ管浸潤が認められたため、術後のフォローアップとして抗がん剤を投与しており、その評価のためにCT検査を行いました。無麻酔での検査でしたが、基本的にほとんど動かない子だったので綺麗に撮影ができました。レントゲンでは確認できない結節が多数認められたため、抗がん剤の種類を増やし現在も加療中です。
杉本パーヤン CT 杉本パーヤン レントゲン

肛門嚢アポクリン腺癌

症例:10歳、中型雑種犬

症状、検査所見:嘔吐、高カルシウム血症

CT検査所見:肛門嚢に造影剤の増強効果が認められる結節性病変を認め、直腸周囲のリンパ節、腰下リンパ節群の腫大を認める。
コメント:今回の症例は嘔吐を主訴に来院され、血液検査にて肝臓の数値の上昇、高カルシウム血症を認めました。病院ではかなり緊張してしまう子だったので、超音波検査がうまくできず後日CT検査を行いました。最初は肝臓について詳しく見ようとお話ししていたのですが、腰下リンパ節の腫大を認め、よくよくみていくと肛門にしこりが認められました。肛門嚢アポクリン腺癌は、症状としては肛門嚢にしこりができるので肛門周囲が腫れたり、お尻が気持ち悪くなったりします。また、腫瘍随伴性症候群の高カルシウム血症があった場合は多飲多尿で来院されることもあります。治療は外科療法や化学療法が選択され、平均生存期間は約1年半とされています。もちろん臨床ステージによってかなり差がありますので、見つかった時点でいろいろ話しは変わってきます。

上田ラッキー

鼻腔内腫瘍(犬)

症例:11歳、去勢オス、ボーダーコリー

症状:慢性のくしゃみ、鼻出血

CT所見:右鼻腔内に占拠性病変が認められる。鼻中隔や篩骨、眼窩骨、口蓋骨の破壊と周囲への浸潤が認められ、鼻咽頭道が閉塞を起こしている。
コメント:犬の鼻腔内腫瘍は、そのほとんどが悪性で予後が悪いことが多く、進行していくと顔面変形や発作などの神経症状が現れます。診断方法は麻酔下のレントゲンなど様々ですが、現状CTスキャンが一番診断の精度が高い検査になります。治療方法としては放射線療法が第一選択で、外科療法や化学療法(抗がん剤)はあまり効果がないことが多いです。

ジョッシュ CT1

ジョッシュ CT2



胃の腫瘍と副腎腫瘍が同時に見つかった症例

症例:16歳、避妊メス、雑種犬

症状:ふらつき

CT検査所見:右副腎は球形に腫大し、造影剤の不均一な増強効果が認められる。また、腫瘤による後大静脈の圧迫も認められる。胃内には有茎状の腫瘤性病変が認められ、造影剤の増強効果も認められる。
コメント:副腎腫瘍と胃の腫瘍を重複して発症している珍しい症例です。高血圧により手術は行っておらず病理診断はできていませんが、対症療法によりある程度良好に過ごしています。副腎腫瘍がエコーにて見つかっていましたが、いざCTスキャンを撮ると胃内にも腫瘤が見つかりました。

中尾ハナ

尿管結石と先天性肝外単一血管性卵巣静脈経由門脈後大静脈シャントの猫

症例:6歳、避妊メス、雑種猫

症状:嘔吐、元気食欲の低下
CT検査所見:左腎臓の腫大、左腎盂拡張、近位尿管の拡張を認め、膀胱に近い左側尿管内に1.2mmの高CT値の構造物(結石)を認める。また、細く長い短絡血管が門脈と後大静脈間に存在している。

コメント:猫の尿管結石はときどき経験しますが、最近は比較的若い純血種の猫ちゃんでの発生が多いと言われています。治療法はその状態によって様々で手術を行うときもあります。今回は中年齢の雑種猫ちゃんということでしたが、幸い点滴の治療などで結石が膀胱まで流れてくれたので、重度の腎不全とならず、手術などの必要もありませんでした。また、全く疑っていなかったのですが、「門脈体循環シャント」という先天性の奇形も同時に見つかりました。この病気は腸で吸収した栄養が豊富な血液が流れる門脈という血管と、全身を巡っている静脈が普通は見られない血管で繋がってしまう病気で、ひどい場合には成長不良や肝性脳症、肝不全を起こしてしまいます。この病気では「結石」もできやすくなるので、もしかすると今回の尿管結石も関係があった可能性があります。

ちびまる


CT部門  血管奇形  門脈体循環シャント

症例:7歳6ヶ月

主訴:胃内異物除去時にCT検査にて尿管結石と血管奇形が見つかる。

診断名:先天性肝外単一性脾静脈経由門脈後大静脈シャント

治療:手術にて異常血管の結紮



コメント:門脈体循環シャントは多くが先天性の血管奇形で、肝臓の中に血液が流れなくなる病態です。若齢(1歳未満)で低血糖発作や体重があまり増えないなどの症状が現れることがあります。下の動画は手術支援動画をCTを取った後に作成したもので、矢印が付いている血管を手術中に結紮し、手術を終えました。術中は門脈圧を測定し、門脈造影を行い、術後は低血糖などに注意しながらオペを行います。

この病気を持っている子は膀胱、尿管、腎結石を持っていることがあります。この子は高齢で血管奇形が見つかってきたのですが、無事手術を終え、現在元気に生きています。