麻酔科治療例

麻酔科治療例

麻酔とは外科的侵襲等の急性ストレス状態を診断・治療する重要な医療です。つまり、患者さんが痛くないよう、怖くないよう、辛くないようにオペ室に入り、オペ室から出てるのを手助けする医療です。


お医者さんは普通死の淵に落ちそうになる患者さんを治療して引き上げようとします。でも麻酔はその逆です。劇薬や麻薬を使って患者さんの意識・呼吸、時には心臓まで止めて患者さんを死に近い状態まで持っていきます。それが、患者さんを手術による痛み、ストレス、恐怖から守る最善の方法なのです。手術前にあれほどたくさんのモニターを取り付けられ、管だらけにするのは全て安全のためです。
安定した呼吸を確保するためノドに管を入れ、いざという時、薬や血液を送り込めるように点滴を刺し、あらゆる計器の力を借り、患者さんの置かれた状況を把握しやすくしています。そうして麻酔科医はより安全に患者さんに麻酔をかけていきます。


ここでは本院で手術をするにあたって、どういう患者さんに麻酔をかけていっているのかを紹介していきます。
麻酔をかける時にはASA分類というものが重要になってきます。簡単に言うと、麻酔をかける前にわんちゃん猫ちゃんが元気なのか?死にそうなのか?ということです。


元気いっぱいがASA1、もう今にも亡くなってしまいそうなのがASA5になってきます。
もちろん麻酔のリスクもASAがあがるにつれて高くなってきます。


どういう麻酔を行っているかを具体的な例を以下に紹介していきます。


ASA5


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麻酔前投与はフェンタニルという麻薬を使っていきます。ASA5の子たちはほとんどがぐったりしており、呼吸も浅いため、通常量入れてしまうと心臓が止まってしまう可能性もあるため、かなり少なめの量を入れていきます。それからアルファキサロン、あるいはプロポフォールというお薬を入れ、意識の消失がおきます。
次に麻酔維持はフェンタニルかレミフェンタニル、あるいはケタミンという麻薬をゆっくり点滴で入れながらイソフルランという吸入麻酔をかがせながら、患者様の心臓が止まらないよう、なおかつ患者様の痛みがないギリギリのところで麻酔をかけていきます。
その時に重要になってくるのが心拍出量(心臓からの血液がどれだけ送り出せているか)です。それを把握する為に動脈血圧や心拍数を計測し、今の患者様の状態を随時把握しながら麻酔薬の量も調整していきます。
麻酔医の新価が問われるのは、患者さんのわずかな変化を敏感に汲み取って、それをいかに補正することが出来るかどうかです。患者さんの状態が劇的に変化してから動いたのではほとんどの場合が手遅れになります。麻酔を維持している時には様々なイベントが起きます。血圧の低下・上昇、心拍数の低下・上昇、SpO2の低下etc...それらを敏感に察知し、対処していく総合的な能力が必要となってきます。
特にASA5のような上の子ではその変化が劇的に起きてきます。いち早く的確に異常に気付き対処していく、その的確さと素早さが麻酔医に求められるものです。


ASAが高い子の手術をしていくためにはそれだけ、麻酔医の技術力も必要になってきます。当院では麻酔に非常に力を入れている理由がここにあります。


少しでも多くの患者様に少しでも安全な麻酔をかけることが出来るよう、当院はそのような麻酔を目指しています。